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熊野路

佐藤春夫


【一寸さきは やみくもと かせぐおかげで このやうな栄耀(ええう)するこそ楽しけれ】

 一心不乱無我夢中で稼ぐおかげでこのやうな贅沢が出来るのも倫快であると木挽等は山祭の酔心地もこの上なしに暢気である。尤も、やみくもといふ語の前に一寸さきはとつけたところさすがに作者の世相に対する不安を幾分はにほはせてゐるやうな気もする。

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底本:『定本 佐藤春夫全集』 第21巻、臨川書店

初出:1936年(昭和11年)4月4日、『熊野路』(新風土記叢書2)として小山書店より刊行

(入力 てつ@み熊野ねっと

長うた狂歌「木挽長歌」:熊野の歌

2015.12.24 UP



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