熊野路
佐藤春夫
足引きの山は…………
(統々木挽長歌小解)
奥山に木伐るや翁(をぢ)
木やは削る
真木やは削る
木削る翁
——催馬楽
【あこととのふるあまが子も声勇ましく足引きの山は……】 網子調ふる海人が子もといふのは引網の人々に号令する漁者 の声勇ましきにつれて網引くものも力を励して足を引くと山の まくら言葉を呼び出して再び山はと海人が子の声勇ましく山彦 する山の方へ話題を転じてみる。
底本:『定本 佐藤春夫全集』 第21巻、臨川書店
初出:1936年(昭和11年)4月4日、『熊野路』(新風土記叢書2)として小山書店より刊行
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2015.10.28 UP