木本高等学校校歌
佐藤春夫
一、七里み浜の春がすみ
洋々として若人の
希望に似たり真帆片帆
目路(めじ)のかぎりにつらなれる
二、秋月清し鬼が城
涛に抗ふ崇高(けだかさ)を
己(おの)が志操にたぐへつつ
歌うそぶかんわが友よ
三、なぞ書(ふみ)にのみ学ばんや
目を挙げて見よ熊野路の
深山(みやま)に海に行く雲に
啓示(をしへ)は尽きぬ天地(あめつち)を
四、春秋三たびうつろふて
世の荒波に立たん時
崇高(けだか)き巌(いは)にちかひてし
往年(むかし)の歌は思ひ見ん
(三重県立木本高等学校 昭和三〇・五 作曲 長谷川良夫)
底本:『定本 佐藤春夫全集』 第2巻、臨川書店
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2015.8.24 UP