牛鬼の滝
那須晴次『伝説の熊野』
佐本村大字宮城に牛鬼滝と云う滝があります。それは日置川の上流で川幅もあまり広くはないがとにかも蒼々として昼なお暗い森林中に白く光る滝の姿は寧ろ恐ろしい不気味な滝であります。その昔吉平さんと云う親父さんが魚を釣って居るとこの滝つぼの真中に大きな牛が現われて水にうつっているではありませんか。吉平さんの影を食ったのだそうです。すると吉平さんの休は真黒焦げになって死んでしまったそうです。それで今でもその滝で魚を取らないのです。側を通っても身の毛のよだつような音をたててどうどうとたぎり流れています。
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2019.9.18 UP