戸閉岩
那須晴次『伝説の熊野』
口熊野の一寒村に昔から人々に驚異の心を懐かせていると云う一つの伝説があります。所在は高尾山の北麓秋津川岸に絶壁なしたる岩があります。その下部に丁度戸を閉ざした様な岩に七五三縄が張られています。これを戸閉岩と称して今なお疑惑の的になっています。
昔からその岩戸の中には宝物が入れられているという。苔むした岩戸に多年風雨にさらされては判然とはしないが、何か文字が刻まれている。この古文字を読破する事が出来たならば岩戸は自然に開くというのです。
昔ある雲水行脚の僧が戸に刻まれている古文字を殆ど読み得て今一字で終ろうとする、その時山鳴り地震動して僧は恐怖に堪え兼ねて匆々と逃げ去ったと云う事です。
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2019.7.14 UP