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田辺の夏祭

那須晴次『伝説の熊野』

田辺

 昔、田辺町內の人々が暑い暑い夏に祭典をするのは骨が折れると言って祭を九月頃にまで延期したことがあった。するとその年町の人々が恐ろしい悪疫に罹ったと言うことである。

 七月二十四、二十五は田辺祭典の日であるが、この日は瀬戸崎方面が非常に波が荒れる。これは昔、ある人が祭典の日に大きな釣鐘を舟に積んで田辺へ来た。ところが瀬戸崎方面で海が荒れてその釣鐘が海中へ沈んだ。

 その後、人々が頻りに探したがとうとう判らなかった。それが今でも海の底にあるからその日は海が荒れるのだそうだ。

 子守歌に「田辺祭りは二十四日五日波が高いよ瀬戸崎は。」

 祭典には御笠を引くのが風習である。御笠の由来について昔天皇が熊野行幸の途次竜駕をこの町にうちすてられて、熊野三山へ御参詣になつた。それをお笠としてお祭りにひくようになったという。各町々から引出すお笠は七台ある。いづれも古雅なものだ。

 その中、江川町の大黒天の左手に持っている宝袋が自然に落ちたならば、その年は大漁であると言う。

 北新町の御笠は今は餅花であるが、昔人形を乗せると少しも動かなかったと言う。

 闘鶏神社の裏山に天狗岩という岩がある。その岩に乗れば必ず鼻血が出るそうである。

 

(入力 てつ@み熊野ねっと

闘鶏神社:熊野の観光名所

2019.7.17 UP



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