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大塔峰

那須晴次『伝説の熊野』

富里

 東に大塔海抜二千尺、西水□、南半作並にはてなき熊野三千峰に大塔峰こそどういう由緒でこの名を得たか? これこそそのかみ吉野朝庭南朝の勢衰え給うに及んで大塔宮護良親王は時勢のやむを得ないのを考え給うて、都から遙々と山伏の姿に身をやつして紀州の川添村を通り、富里村の東いわゆる大塔峰にお逃げあそばされてここにしばしお忍びになったのでこの名がある。

 やがて宮はまた大塔峰より下り出でられる時、麓の剣山と云う所に御剣をお置きなされて、行かれたと。我らの祖先はこれを恭しく祀り奉ったのが今の剣神社だ。剣山の前に立った時これが宮の形見かと思うとそぞろ涙がにじみ出て当時を追懐せずには居られない。

 

(入力 てつ@み熊野ねっと

2019.8.5 UP



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