お手かけ草
那須晴次『伝説の熊野』
小さな草で畑に生える草。殊に蜜柑畑に多く生じる雑草が我が三栖村にある。昔、中三栖の尋聲寺と云う寺に、あるお手かけが大そう美しい花だと云って持って来たのがその草なのだ。お寺では方々の家に分けた。
さてそれが夕べの間に速にまさり人々の気付いた時は早やおそく畑という畑には一面に生え蔓っていた。村人ども困りはてて草取りにかかったが速に生長する草であるからなかなか絶えません。
今は百姓の一番苦しい草引を尚一層まさしめた。称して村人達はお手かけ草といっている。
(入力 てつ@み熊野ねっと)
お手かけとはめかけのこと。
2019.7.14 UP