水呑峠
那須晴次『伝説の熊野』
富里村大字平瀬に大岡弾正という落武者があって、地方の慣例によって、正月二日に書初めをしようと思って衆を招いた時、釣上の僧もその席に列っていた。しかるに文字の吉凶上から大岡氏の怒りにふれる所となった。ところが大岡氏は直に刀を抜いて僧を斬ろうとすると僧はすぐ逃出したので、大岡氏はその後を追ってこの峠まで来た時、僧は喉が渇いたので、しきりに水を飲んで居た。大岡氏は矢庭にその僧を殺害した。それでこの峠を水呑峠という様になったのだという。この時大岡氏はここで血刀を洗ったので同氏の子孫はこの谷にて水をのまないということである。
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2019.8.6 UP