松上の大黒天
那須晴次『伝説の熊野』
安正元年十月強い地震があり、その時同時に海嘯があった。それが前後三回に及んだ。新庄字新田原及名切等の民家は一二回目に殆んど引凌われ健固なる家屋も三回目には全部掻き浚われた。
只一つ残ったは榎本幸助氏の庭前に今尚ほ亭々として■立する老松あるのみであった。
この老松は現今周囲一丈五尺あり高さ三丈程の所から二枝に分れている。この松のマタの所へ当時大黒さまの像がかかっていた。榎本家には村の祭礼には今でもこの大黒天を屋外に出し安土産神社と共に祭典を行うている。
(入力 てつ@み熊野ねっと)
2019.7.14 UP